地火明夷
彖伝たんでん:明が地中に入るは明夷。内が文明であり外が柔順である。これをもって大難をこうむる。文王はこれをもつ。"難貞にい"とはその明をくらくするなり。内難にしてくその志を正す。箕子きし(紂王の叔父)はこれをもつ。

彖曰:明入地中,“明夷”。内文明而外柔顺,以蒙大难,文王以之。“利艰贞”,晦其明也,内难而能正其志,箕子以之。

大象伝:明が地中に入るは"明夷"。君子これをもって民衆にのぞみ、くらきを用いて明らかにする。

象曰:明入地中,“明夷”。君子以莅众用晦而明。

 6爻 (上六:成卦主)

爻辞こうじ6:明るからず。くらい。初めは天に登り後に地へ入る。

上六:不明,晦,初登于天,后入于地。

解説

象伝:"初めは天に登り"とは四国を照らすなり。"後に地へ入る"とはのりを失うなり。

象曰:“初登于天”,照四国也。“后入天地”,失则也。

 5爻 (六五)

爻辞こうじ5: 箕子きし(紂王の叔父)の明、やぶれる。ただしくしてい。

六五:箕子之明夷,利贞。

解説

象伝:<箕子きしの貞正。明をやすめるべきではないなり。

象曰:箕子之贞,明不可息也。

 4 爻 (六四)

爻辞こうじ4: 左の腹に入る。明夷めいいの心をる。門庭を出る。

 六四:入于左腹,获明夷之心,于出门庭。

解説

象伝:左の腹に入る。心意をるなり。

象曰:“入于左腹”,获心意也。

 3 爻 (九三)

爻辞こうじ3: 南に狩(討伐)してやぶる。その大首を得る。かたくするべからず

九三:明夷于南狩,得其大首,不可疾贞

解説

象伝:南をめぐるの志、すなわち大を得るなり。

象曰:“南狩”之志,乃得大也。

 2 爻 (六二)

爻辞こうじ2: 明夷めいい左股をやぶる。さかんな馬をすくうに用いる。吉。

六二:明夷夷于左股,用拯马壮,吉。

解説
  • 左の股を怪我する程度に悪政の影響が2爻にも及んできた。盛んな馬をって脱出し難を逃れて吉を得る。この2爻は周の文王が紂王によって羑里ゆうりに幽閉された後、配下の閎夭こうよう太顚たいてん散宜生さんぎせいらが、殷の紂王に美人、奇物、財宝を届けた事で、文王の幽閉が解かれる事になったという逸話に擬えられている。

象伝:2爻の吉はのりをもってしたがうなり。

象曰:六二之吉,顺以则也。

 1爻 (初九)

爻辞こうじ 1:明夷めいい、その翼しだれ飛びゆく。君子行くにおいて三日食べず。くところあり、主人言葉あり。

初九:明夷,于飞垂其翼。君子于行,三日不食。有攸往,主人有言。

解説
  • 1爻は明夷の域に一歩踏み込んだところ。そこで明夷のヤバイ状況を察知したのであるが、主人からの食料の配給も受け取らず低空飛行で身を隠すようにして素早く脱出する。事情のわからない主人は小言をいう。

象伝:"君子行くにおいて"とは食べずが義である。

象曰:“君子于行”,义不食也。



 ● 補 足
<この卦が表す事物の例>

大女と中女

地下火山活動

焚書

焚き火と火の粉

大衆の目

…etc